大社線は、島根県の出雲大社への参拝を目的とした、出雲市駅から旧大社駅までの7.5kmの路線です。
1990年(平成2年)4月1日に廃止されました。
廃線跡は道路や自転車道等へ転用されていますが、当時の痕跡が多々残っています。
出雲市駅から旧大社駅へ向かって見ていきます。
【前編】 出雲市駅~出雲高松駅(途中駅)
旧大社線は、出雲市駅から西に向かって山陰本線と平行しており、約1.2Kmの地点で分岐していました。分岐点は下記の丸印の箇所です。
緩やかなカーブを過ぎると、一直線に進みます。
このあたりは歩行者・自転車道になっています。
カーブの途中に制御器のような箱が残っています。
そのまま進むと、国道9号線を越えたあたりから川沿いに出てきます。
川沿いを進むと、小さな橋梁があります。下図の丸印の所です。(出雲市駅から約3Km)
鉄道時代の橋梁に鉄板を乗せたような作りの橋です。
枕木もひょっとしたら当時のものかもしれません。
橋桁の側面にプレートがありました。3行目に「KOBE JAPAN」の文字が読み取れます。
後に調べると、4行目は「川崎造船所 兵庫分工場」と右から書いてあるようです。
川崎造船所は、現在の川崎重工業の前身であり、1906年(明治39年)に開設された兵庫工場で製造されたようです。兵庫工場では機関車や、貨客車、橋桁の製作を行っていたようです。
5行目に、おそらく製造年が書かれていると思いますが、右から「明○四○○年〇〇」となんとなく見えます。明治40年代に製造されたものと思われます。(間違っていたらごめんなさい)
橋から400mほど進むと、1つ目の途中駅 「出雲高松駅」跡があります。下図の丸印のところです。
駅近くの橋には、当時の写真が取り付けされています。
ところで、出雲高松駅跡ですが、現在は川辺りにあります。
しかし、大社線が現役当時の展望映像を見ていると、このような景色はありません。
下記の図(現在)と同じ場所を、昔の航空写真(1974年~1978年)と比較すると、
線路北側の「くねくねと曲がった川」はどちらにもありますが、
線路南側の「まっすぐな川」は、昔の航空写真にはありません。
じつは廃線後に河川改修工事が行われ、現役時代と景色が変わっていました。
よく、改修工事でも廃線跡を残して頂けたもんだと有り難く思います。
現役時代をご存知の方が廃線跡を探す際には注意が必要です。
出雲高松駅に車で行く場合、県道126号線の「高松中央橋」交差点で曲がると近いです。
中編に続きます。廃線跡探訪 大社線(島根県)中編
大社駅は後編で紹介します。中編を飛ばして後編(主に大社駅の紹介です)はこちら ⇒廃線跡探訪 大社線(島根県)後編
他の廃線跡もあります ⇒福知山線の旧線 廃線敷ハイキングコースです。風光明媚な景色とトンネル・橋梁が楽しめます。 廃線跡探訪 福知山線(前編)
100年前に、たった9年だけ存在した幻の鉄道 大仏鉄道の廃線跡を巡ります。⇒ 廃線跡探訪 大仏鉄道 前編
信越本線 旧線アプトの道です。66.7パーミルの急勾配とトンネル群、めがね橋が有名です。廃線跡探訪 旧信越本線 碓氷峠(旧線 アプトの道)その1